160315_レム・コールハース読解

忘備録

件名:『レム・コールハースの読解の読解』トークセッション
場所:代官山TSUTAYA
日時:16/03/15

概要: レム・コールハース関連出版物の著者・翻訳者をはじめとした、各世代の「OMA論者」6名(難波和彦氏、太田佳代子氏、五十嵐太郎氏、南泰裕氏、小林恵吾氏、岩元真明氏)によるトークセッション。
『錯乱のニューヨーク』以来何年もの間邦訳がなく、正しく理解しにくかったレム・コールハースの理論と実践を理解する全体のマップが示された。

詳細:
自らを”writerでありarchitect”であるとするコールハース。 理論と実践を分離して捉えなければ彼を正しく理解することはできない。

  • writer = 理論。状況を観察・調査し、分析する。著作や展覧会なども含めて、実務の与条件を浮かび上がらせる作業を行う。AMO
  • architect = 実践。建築家として作品を生み出す。「驚異」を生み出す。OMA

与条件の彫り出し方には方向性がある

  • 大都市に関心がある以前に、世界を動かしている力・集合的無意識の欲望が何を引き起こしているかに関心がある。
  • 従って、大都市の広大なバックヤードであるカントリーサイド(田舎)へも、自然に関心が移っていく。関連して、“thinning”(どんどん薄く、希薄になっていく)というキーワードも出てきている

コールハースは、より過酷な条件を求めているように思える。
過酷=従来の建築的価値基準からすると「いい建築」が成立しなさそうな条件。その状況に飛び込んでいって、「建築」を成立させようとする強い意思

  • ビッグネスへの関心・・・建築が超巨大になっていくと、近代建築とはサイズが違いすぎて、従来の評価軸では「いい」とか「悪い」とか言えなくなってくる。それは測るモノサシが違うから。近年実現されはじめているXLサイズの作品は、ビッグネスの中で新しい「いい建築」という評価軸を創りだすための実践・トライアル
  • スマートな技術への関心・・・
    スマートな技術=社会を個人の単位に分解していく傾向がある技術
    建築家の持つ技術=人間集団をうまく組織化しまとめていく技術 対照的な二つの技術。
    前者の台頭によって建築家は職能自体が危機に瀕するが、このスマートな技術とどう向き合っていくかが要求される条件の中で、危機を乗り越え人間生活をうまく組織化し、「驚異」を生み出すことを目指す
  • ジェネリック・シティ、建築家不在の建築、都市、景観・・・建築家不在のままできあがっていく都市の中で、どうやって新しい「驚異」を創りだすか?
  • 建築の保存の問題・・・保存の対象として指定され改変することの許されない部分が地球上に占める割合が増えてきている。手を付けることが許されない部分が多い歴史的建築物のリノベーションを、どう行うのか。最近のa+uで出たOMA特集はリノベーションばかり。リノベーションで新しい建築的「驚異」を生み出そうという実践・トライアルがなされている。

新しい「驚異」を求めて、すでに評価軸が確立した「いい建築」が通用しない与条件をむしろ常に探し求める、フロンティアスピリッツあふれるwriter+architectとしてレム・コールハースの姿が浮かび上がる。